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第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権

観戦記事

第28回マジック世界選手権 王者決定戦

Corbin Hosler

2022年10月30日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

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 イーライ・カシス/Eli Kassisは世界選手権参加者の中においてベテランの部類だ。何年もの間継続的に研鑽を積み、その努力が「神河チャンピオンシップ」での優勝という形で報われた。

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 ネイサン・ストイア/Nathan Steuer。この神童はここ3年でオンラインでの競技プレイのランキングを駆け上がってきたMagic Onlineのラスボスであり、そしてこの2022年には一連のイベントでの優勝、世界選手権出場権、そして今は決勝戦に進出し、すべてが結実した。

 友人であり好敵手であるふたりが、たったひとつのマジック世界チャンピオンの座を懸けて向かい合う。

 

 決勝戦の開幕は、カシスが2枚の《婚礼の発表》で口火を切り、他方ストイアには2枚の《かき消し》というオープニングハンドがもたらされた。ストイアはリアクションカードを構えるよりも《鏡割りの寓話》を展開することを選択した。

 《鏡割りの寓話》はさまざまなフォーマットで最上級のカードであることを証明しており、ストイアは2枚目を続けた。これが宝物・トークンの流れを生み出し、カシスのターンに2枚目の《かき消し》を唱えることを可能にした。

回転

 カード選択とマナの両方で優位に立ったストイアは、いつの間にか「エスパー・ミッドレンジ」デッキに対し最高のカードを展開できる優越的地位にいた。すなわち文字通りの《絶望招来》だ。多くのリソースを生け贄に捧げた後、《ヴェールのリリアナ》がカシスの手札を空にした。

 第1ゲームは電光石火の速度だった。が、第2ゲームはまったく逆の展開になった。両プレイヤーはストイアが《税血の収穫者》で口火を切る4ターン目まで呪文を唱えることがなかった。

 そこからカシスが《選定された平和の番人》(実際にストイアの手札にあった《冥府の掌握》を指定)でテンポを奪うと、続く《漆月魁渡》が彼にアドバンテージでもリードをもたらした。守勢に回るストイアは《税血の収穫者》でブロックに回ろうとしたが、《皇国の地、永岩城》の「魂力」で落とされた。この攻防により、カシスは《放浪皇》と続くターンの《策謀の予見者、ラフィーン》を着地させる道を切り開き、土地ばかりの手札のストイアを破り、ふたりは3ゲーム目へと突入した。

 (マッチ2本先取の戦いの1本目の)勝負の分かれ目は、3マナ域の戦いのように思えた。ストイアは《鏡割りの寓話》を、一方カシスは《漆月魁渡》を抱えていた。両者ともに動力源は理解しており、試合はどちらがそれを最大限活用できるかにかかっていたが、その分形勢がはっきりするまでに幾分か時間がかかった。《キキジキの鏡像》はストイアに安定して《死体鑑定士》をもたらし、他方カシスは《漆月魁渡》と《策謀の予見者、ラフィーン》に身を預けた。

 さて結果は? このフォーマットではよくあることだが、《策謀の予見者、ラフィーン》の策謀が、他のあらゆるカードアドバンテージよりも優れていることが証明された。そして、4体のクリーチャーによる大攻勢によりカシスは「ブロックされない」トークンを壮大な規模で強化し、世界選手権決勝戦の1マッチ目を制したのだった。

 

 第2試合の第1ゲームは第1試合とは異なる展開になった。両者ともに序盤からアドバンテージで圧倒することができなかった。しかし、ストイアの《勢団の銀行破り》とカシスの《放浪皇》がリソース源として展開された。ストイアが彼のプレインズウォーカー、《ヴェールのリリアナ》で反撃しようとすると、《復活したアーテイ》に飛び込む形となってしまった。これはカシスにとってゲームを決定づけるプレイとなり、《夜明けの空、猗旺》で追撃した。

 《夜明けの空、猗旺》は墜とされたが、よりカシスの悩みの種となったのはその誘発型能力によって何も戦場に送り出すことができず、完全なる空振りに終わってしまったことだ。これにより彼の皇を《勢団の銀行破り》から守るにはチャンプブロックに回らずを得ず、カシスは盤面では先行したものの、盾を失ったままターンを渡さざるを得なくなった。果たして、ストイアはこの隙を活かせるだろうか?

 彼はそうできたし、そうした。彼は7枚目の土地を置くと、完璧な《黙示録、シェオルドレッド》と《鏡割りの寓話》を確保したのだ。これでカシスが渇望していたアドバンテージを失い、さらに《絶望招来》が続くと、ストイアは再びマッチの最初のゲームを奪取したのだった。

 このマッチの第2ゲームはあっという間だった。ストイアは序盤に《勢団の銀行破り》を設置したが、《黙示録、シェオルドレッド》への回答となる除去呪文を手に入れることができず、すぐにカードをたたんで第3ゲームへと移った。

 これで、カシスは世界王者のタイトル獲得まであとたった1ゲームにまで迫った。しかし、マッチポイントを握った状態で、スタートの遅い展開により《鏡割りの寓話》を《否認》できなかったのだ。ストイアがそれをクリーチャーへと変身させ、アドバンテージを積み重ね始めた時、カシスはゲームを取り戻す方法を探していた。《聖域の番人》がその口火を切ったが、十分ではなかった。ストイアがデッキトップに対応策を見出し、カシス戦での連敗を止め、この決勝戦において1勝を取り合うことになった。

 

 さあ、いよいよだ。タイトルを懸けた最後の試合。世界王者の戴冠は間近だ。

 しかしその第1ゲーム、カシスは土地不足で始めなければならなかった。彼は4枚目の土地を見つけることができず、ストイアは計画的にカシスの序盤を打ち消し呪文、除去、そして《ヴェールのリリアナ》で押し止めた。カシスが大きく後退し、ライフがたった10にまで落ち込む中、ストイアは《死体鑑定士》やその他の戦力で戦場を構築した。ストイアが繰り出した《黙示録、シェオルドレッド》が最後の一撃となった。

 今回の第2ゲームはカシスのものだった。ストイアは青マナ源を見つけることができず、ふたりはすぐさま最後の、まさにすべてが懸かる試合へと突入した。

 2ターン目のストイアが繰り出した《勢団の銀行破り》カシスにアクションを強要した。しかし、それによりストイアがトップデッキした《鏡割りの寓話》を戦場に送り出す扉を開けてしまうことになったのだ。そして、《鏡割りの寓話》とともにアンタップを迎えると、ストイアは《キキジキの鏡像》を守るゲームプランを組み立てた。それはつまりカシスが土地枚数に苦労している間打ち消し呪文を構え、数ターン後にはこの《キキジキの鏡像》が2枚の打ち消し呪文に守られながらクリーチャーをコピーする準備が整ったのだ。

 カシスが必要とする4枚目の土地が届けられることはなかった。しかし、ストイアの《死体鑑定士》は土地を届けた。そして、すべてが終わった。ストイアはカシスに3連続でマッチを落とした後に挽回し、この週末最後の勝利画面を奪取したのだった。

 

 おめでとう、ネイサン・ストイア。第28回マジック世界選手権王者にして、新マジック世界王者!

 

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